その美しさから『渓流の女王』の異名を持つヤマメ。
そんなヤマメは外見の美しさだけでなく、味も非常に美味ということで、釣り人にとって人気の魚です。
しかし、その分ヤマメの警戒心は高く、なかなか釣れない魚とも有名です。
ですが、本記事では初心者の方でも釣れるような釣り方のコツや、おすすめのタックル、釣れるポイントなどを丁寧に紹介します。
目次
ヤマメってどんな魚?
ヤマメはサケ目サケ科に属する川魚です。
大体20㎝ほどが平均的なサイズですが、最大まで育ち切ると60㎝を超える大きさにまで成長します。
産卵期は9月から10月で、一度の産卵でおよそ200~300粒程度の卵を産みます。
これは一見多いようにも見えますが、同種であるサクラマスの産卵数が3000ほどなので、サケ科の魚の中ではずば抜けて産卵数が少ないです。
これはおそらく、海と比べて栄養の乏しい川で一匹でも多くの子孫を残そうとする工夫なのだと推測されています。
また、ヤマメの生息地域は日本全土に分布します。
以前は神奈川県以北の太平洋側や九州の一部など、限定的にしか生息していませんでしたが、稚魚放流が盛んに行われたことにより生息域が広がりました。
餌は樹上から落ちてくる虫や川底に潜む川虫を常食としています。
ヤマメが釣れやすい時期
「今まで何度もヤマメを釣りに行っているのに全然釣れない・・・」
あなたもそんな風に悩んでこのページにたどり着いてのではないでしょうか?しかし、それは何も珍しいことではありません。
ヤマメを釣るにあたって釣れやすい時期を知るということはとても大切なことなのです。
むしろ釣れる時期を知らなければせっかく釣りに来たのに一匹も釣れないなんてことはよくあることです。
というのも、ヤマメは時期によって活性が大きく異なる魚だからです。そこでヤマメが最も釣れやすい時期をご紹介します。
ずばり、ヤマメが一番釣れやすい時期は5月から6月です。この時期は水温が高まり、ヤマメの活性が非常に高まるからです。
さらにもう一つ理由があり、梅雨の季節に入ると川が増水し、流れも激しくなるので上流から多量の餌が流れてきます。
その結果活性が高まり、梅雨の時期は特にヤマメが釣れやすくなるのです。
なので、もし「いつ釣りに行こうかな・・・」と悩んでいるのなら5月から6月、とくに梅雨の時期に釣りに行くことをおすすめします。
ヤマメが釣れやすいポイント
ヤマメは臆病で慎重な魚として有名です。
そのため、しっかりとヤマメが潜んでいるポイントを探すことは非常に重要になります。
また、ポイントを探す際にはヤマメの習性を意識しましょう。
ヤマメは透き通ったきれいな川にしか生息しないため、天敵である水鳥に対して非常に警戒しています。
そのため基本的には岩場の影や木の近くなど、頭上から発見されにくいポイントに潜んでいることが多いです。
また、餌が豊富というのも重要になります。
それらの点を考慮すると、
・反転流
・瀬
・滝つぼ
の3つがおすすめのポイントです。
それでは、なぜそのポイントがおすすめなのか、以下で詳しくご紹介します。
なぜ反転流が釣れるの?
出典:honda釣り倶楽部
そもそも初心者の方からすると、「反転流って何?」という方もいると思うので、まずは反転流が何かについて説明します。
簡単に言うと、反転流とは水が何らかの要因でまきこまれたりすることで川の流れが反転し、渦巻いている場所のことです。
このような場所には流れの性質上、餌となる川虫やゴミが集まりやすいため、ヤマメが潜んでいる可能性が高く釣れやすいポイントになります。
また見つけ方は非常に簡単で、大体は流れが激しいポイントの左右に存在しますので、ポイントに目安を付け目測で発見するだけです。
もちろんそれ以外のポイントにも反転流は多数存在するのですが、初心者の方には見つけるのは難しいと思いますので、
「反転流かな?」という場所に向かってキャストして実際に確かめてみるのが一番わかりやすい方法だと思います。
なぜ瀬が釣れるの?
瀬は流れが平坦で浅瀬なので意外と見落としている方も多いと思います。
ですが、ヤマメが瀬に潜んでいることは決して珍しくないのでしっかりと探るようにしましょう。
また、5~6月にかけての水温が上がりはじめの時期にはヤマメが溜まりやすい傾向があるので、もしその時期に行くのなら背を重点的に探るようにしましょう。
この場所は魚の警戒心が薄いので遠目からキャストするようにすることが釣果を上げるコツです。
なぜ滝つぼが釣れるの?
滝つぼは今回ご紹介した中で一番おすすめのポイントです。
というのも、滝つぼは底が深くえぐれているため水深が非常に深く餌が豊富なため、魚が大量にいるという特徴があるからです。
そのため滝つぼではヤマメだけでなく、イワナなども釣れる可能性があります。さらにそれらの魚はみな一様に巨大なサイズです。
さらに両サイドには先述した反転流も存在しているため、釣り場として一級ポイントです。
それに滝つぼより上に魚が昇ることができないので、ヤマメの逃げ場がないというのも魅力的です。
しかし、滝つぼ付近の勢いはすさまじいため重いオモリを付けてしっかりと底に仕掛けを沈めることが重要です。
滝つぼは基本的にどの釣り場においても一級ポイントですので、渓流に来た時は必ずチェックしておきましょう。
ヤマメはミャク釣りで釣るのがおすすめ
普段海釣りを主軸にしている方はミャク釣りと言っても聞き覚えがないのではないのでしょうか?
ミャク釣りとはウキの代わりに目印を使い、指先でアタリを感じて釣る渓流釣りでよく使われる釣法です。
私がこの釣り方をおすすめする理由はミャク釣りにはライントラブルが少なく、初期投資が少ないので手軽に始められるからです。
そのため初心者の方には特におすすめしたい釣法です。
また、基本的にミャク釣りは述べ竿で行うことが多いですが、渓流釣りの場合は専用の渓流竿を使うことになります。
ちなみにこの釣法は基本的には渓流で使われるのですが、ハゼやメバルなどの小物釣りの場合は海でも効果を発揮します。
ヤマメをミャクで釣る3つコツ
ヤマメを釣るコツ1:流れを利用する
警戒心の高いヤマメをだまし、餌に食らいついてもらうためには流れを利用することが重要になります。
そうすることで餌に対する不安感をなくせば一気に食らいついてくれるからです。
しかし、流れを利用するためにはいくつかの手順が必要になります。と言っても簡単ですので、身構える必要はありませんよ。
流れを利用するためには、まず初めにある程度狙うポイントを決めます。
その次に、その決めたポイントを直接狙うのではなく、少し上流からキャストするようにします。
これだけです。もちろんこれは流れ込みなどを狙う時も同じです。
川の流れをたどり、自然とその流れ込みにたどり着く『川の筋』のような場所めがけてキャストしましょう。
単純ですが、非常に効果的なコツですのでぜひ一度試してみてください!
ヤマメを釣るコツ2:手前から順にキャストしていく
ヤマメを釣るコツは手前から順にキャストすることです。
ヤマメの警戒心はほかの渓流魚と比べても段違いで高く、『一里一魚』と呼ばれるほど。
そのため、なるべくヤマメに警戒心を与えないというのは非常に重要になります。
ですので、動くときにできるだけ物音を立てないことはもちろん、手前から順にキャストすることが非常に重要になります。
もし、いきなりポイントの奥側にキャストしてしまうと、ヤマメが走った場合には他のヤマメ達が一斉に下流側に逃げてしまい、せっかくのポイントを潰してしまうことに繋がります。
ですが、手前からキャストすることによって、ポイントを効率的に探せるだけでなくポイントを潰すなんてことも起こりません。
さらに上流のヤマメにも警戒心を与えないなど、メリットがたくさんなので必ず手前側からキャストするようにしましょう。
ヤマメを釣るコツ3:目印の異変すべてに合わせる
風がなく比較的穏やかな天気の日にはアタリの感覚が鮮明に伝わってきますが、そうでないときはアタリの感覚が分かりにくいです。
そのため目印に集中することが重要です。
ヤマメが餌を咥えたら確実に目印に反応があります。
例えばいきなり目印がずぶりと沈んだり、走り出したり、何度も動いたりです。
そういう場合は高確率で掛かっているので素早くアワセをしましょう。
この時に重要なのは素早くアワセをすることです。
ヤマメは餌に何か違和感があるのを感じるとすぐに餌を吐き出してしまいます。
それがヤマメが釣れにくい原因なのですが、逆を言えばそれを克服してしまえば簡単にヤマメが釣れるという訳です。
ですので、目印に何か違和感があったりしたら軽くでいいのでアワセをしましょう。
素早くアワセをする、それだけでヤマメが釣れる可能性はぐっと上がります。
ヤマメを釣るミャク釣りタックル
出典:BE-PAL
ロッド
渓流は釣るポイントによっては環境が非常に変わります。
ですので、どんな状況にも対応できるために渓流竿は釣り場によって使い分けることが重要です。
例えば、狭い釣り場なのに長いロッドを使ったりしてしまうと、取り回しに苦労して周囲に仕掛けをひっかけたりということが多発してしまい釣りにならない、なんてことも。
ですので、複数の竿を用意しておくのをおすすめしますが、
「そんなに多くのロッドは買えない・・・」
という方は5m前後の竿を買っておけば渓流でも十分対応できますので、そのサイズのものを買いましょう。
ヤマメ釣りの餌
ヤマメは虫類を常食としているため、ミミズを使うのが一般的です。
しかし、個人的にはブドウ虫が一番釣れやすい気がします。おそらくブドウ虫は蛾の幼虫で、渓流魚の大好物だからでしょう。
さらにブドウ虫は川が固いので針持ちがよく、ひと箱買うとそれだけで一日中遊べます。
また、ブドウ虫を買いに行くのを忘れてしまったという方は岩をひっくり返したりして川虫を採集し、それを餌として使ってみるのはどうでしょうか?
川虫はヤマメがよく捕食おり万能な餌ですのでブドウ虫に負けず劣らず釣れますよ。
探し方も簡単で浅い瀬にある石を持ち上げて底に入る川虫を採取するだけです。
仕掛け
仕掛けは目印がついているミャク釣り専用の仕掛け針を買いましょう。
この仕掛けだとミチ糸にヤーン、ハリスに針とヤマメ釣りで必要なものがほとんどセットされているため、ロッドに結ぶだけで釣りができます。
また、専用の仕掛け針を買うときに気を付けることは目印の色です。
専用の仕掛け針には様々な色の目印があるので、自分が最も見やすい色の目印が入っているものを買いましょう。
というのも渓流は思っているよりも勢いが激しく、泡が立っているため非常に目印が見にくいからです。
ライン
ミャク釣りでは0.3~1.5号までのナイロンラインを使うことが基本となっています。
なぜナイロンラインなのかというと、ナイロンラインは巻き癖がつきにくく、ライントラブルが起こりにくいからです。
そのためナイロンラインがおすすめですが、 1.5号になるとほかのサイズのナイロンラインよりも感度が悪くアタリが分かりにくいので初心者の方ははじめに1号のナイロンラインを使うのをおすすめします。
いきなり0.3号などの細いラインを使うと、釣りの最中にうまく力をいなせずに、ヤマメに逃げられたりするからです。
ですので初めに1号のナイロンラインで釣りをし、慣れてきたら徐々にサイズを小さくして、最終的に0.3号のラインを快適に使えるようにするのがヤマメをストレスなく釣る方法です。
しかし、ラインをわざわざセットしたりするのがめんどくさいという方は以下で紹介する仕掛けセットを使うのをおすすめします。
針
「やっぱり仕掛けセットを使わずに釣りをしたい・・・」そういう思いの方も中に入ると思います。
そのような方は上記に説明したラインと渓流針の3から6号をつかいましょう。
どんなに大きなヤマメであっても6号の針だと安心して釣りあげられます。
一方3号の針だと小サイズのヤマメであってもばらすことがないので、どのサイズにも対応するために3号と6号、二つのサイズの針を持っていくことをおすすめします。
ガン玉
ガン玉はセットで売っているものがあるのでそれを買いましょう。
一つガン玉のセットを持っているだけで渓流釣りの幅が広がるのでこれは必須と言ってもいい買い物です。
また、ヤマメを釣る場合は3号から4Bのものを水の流れなどによって使い分けるのが基本です。
最後に。
今回はヤマメの釣り方についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ヤマメは味も美味しく見た目も美しい、さらに釣りの獲物としても存分に楽しめる非常に魅力的な魚です。
ぜひこの週末、ヤマメを釣りに出かけてみてはいかがでしょうか?
きっと大自然の中でするヤマメ釣りは日頃のストレスをすっきりと忘れさせてくれますよ!
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